AIガバナンス行動目標

「AIガバナンス行動目標」の浸透

AIのビジネス活用を進める企業が実現すべき価値と、そのために取り組むべきアクションの大枠を取りまとめた「AIガバナンス行動目標」の見直しや、実装のための自己診断ツール「AIガバナンスナビ」の開発・運用を行います。

策定の経緯

AIのビジネス活用が急速に拡大し、AIがもたらすリスクも広く認識されるようになったことから、民間企業に対するAIガバナンス実装に向けた自主取組の期待が高まっています。

2023年日本が議長国として主導した広島AIプロセスに関するG7首脳声明により合意された高度なAIシステムを開発する組織向けの広島プロセス国際行動規範、総務省・経済産業省の共管で2024年4月に取りまとめられたAI事業者ガイドライン(第1.0版)、米政府と米国の大手AI開発企業による共同コミットメントなど、多くの指針類がAIに開発・提供・利用などの形で関わる様々なレイヤーの事業者に自主取組を求めるものです。

こうした状況を踏まえ、AIのビジネス活用を進める企業を中心とするメンバーが産業横断で議論を行い、企業のあるべきAIガバナンスに関する共通理解の醸成や政策提言等の活動を実施するAIGAとして、以下に挙げる有識者・協会会員を交えた議論を経て、「AIガバナンス行動目標」を策定しました。

位置付け

「AIガバナンス行動目標」は、AIGA・会員企業の活動における共通の目標として位置付け、政府・市民等を含む社会に対して宣言し、実現に向けて共同で取り組むものです。

政府の掲げる「人間中心のAI社会原則」において示される「人間の尊厳が尊重される社会」「多様な背景を持つ人々が多様な幸せを追求できる社会」「持続性ある社会」という基本理念を尊重した上で、AIガバナンス構築において重視する3つの価値、AIGA活動の方針となる5項目のAIGA基本指針、会員企業が現在のAI活用・ガバナンスの状況によらず実現に向けて努める目標である9項目のAIガバナンスアクションプランから成り立ちます。

「AIガバナンス行動目標」内に掲げられた各項目は、AIのビジネス活用を進めるあらゆる企業がAIガバナンス構築に取り組む上でまず考慮すべき要素を網羅したものです。実際に、2024年4月に決定された総務省・経済産業省のAI事業者ガイドライン(第1.0版)に掲げられる各指針にも漏れなく対応しており、自社のAI倫理指針やポリシーを定める企業が共同で宣言し、参照するのに最適な枠組みとなっています。

AIGAとAIGA会員は、日本政府のガイドラインにも対応し、国際的なAIガバナンスの指針類の趣旨にも沿って策定したこの「AIガバナンス行動目標」を共同で宣言し、今後も行動目標実践の具体化・深化を進めながら、企業の自主取組としてのAIガバナンス構築をますます推し進めていきます。

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【AIガバナンス行動目標の概要】

国内外のAIガバナンスに関する指針類の議論において、AIガバナンスにおける事業者の自主的な取組を求める流れが主流化しつつあることを受け、AIガバナンスに取り組もうとする企業・団体が集まるAIGAとしても自主的な取組の方向性を明確化することとしました。

AIガバナンス構築に当たって重視する価値として「社会的な価値の実現」「マルチステイクホルダーでの信頼構築」「イノベーションの促進」を掲げています。全体は14項目のステートメントから成り立っており、協会としての基本指針、会員企業の行動目標となるAIガバナンスアクションプランに分かれています。

特にAIGAに特徴的な要素は「AIガバナンスの民主化」「横断的な共通認識の醸成」「国際的な議論への参加」といった項目を通じて、マルチステイクホルダーでの知見共有や共同での議論への貢献に対する姿勢を明確化したところです。

「AIガバナンス行動目標」はAIGA・会員企業の活動における共通の目標として位置付け、政府・市民等を含む社会に対して宣言するものです。協会も、会員もここで示す行動目標の実現に向けて努力していきます。