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活動実績

駐日EU代表部とのコラボレーションイベントを実施しました

2024年4月19日(金)、駐日欧州連合代表部にてAIGAと駐日EU代表部とのコラボレーションイベントを実施しました。
EU AI Act可決を受け、日本企業の実務におけるAIガバナンスのあるべき姿や、今後のEUの標準策定への期待について、駐日EU代表部の方々、自民党・経済産業省・AISIなどの日本の政策担当者、AIGA会員企業を交えて議論しました。
以下、会の様子の一部をお伝えします。

開催概要

主催:AIガバナンス協会・駐日欧州連合代表部
日時:4月19日(金)15:00-18:00
会場:駐日欧州連合代表部(東京都港区南麻布 4-6-28 ヨーロッパハウス)

オープニングスピーチ

オープニングスピーチの様子

登壇者
ジャン・エリック・パケ様 駐日欧州連合大使

開会に寄せて、駐日EU大使のジャン・エリック・パケ様からオープニングスピーチをいただきました。
AIがもたらす負の影響を軽減しつつ、市民社会にとっての便益を引き出す形で最大限活用する、AIという最新技術への向き合い方の基本的な考え方の提示とともに、今回日欧・官民を横断した関係者が一堂に介して意見交換の機会を持つことへの期待・歓迎のメッセージをいただきました。

民間セクターセッション

民間セクターセッションの様子

登壇者(写真手前から)
平本健二様 IPA、AIセーフティ・インスティテュート(AISI)副所長、事務局長
財津健次様 楽天グループ株式会社 執行役員 情報セキュリティ・プライバシーガバナンス部 ジェネラルマネージャー
小和田香様 ソフトバンク株式会社 CDO室 担当課長
佐藤竜介様 東京海上ホールディングス株式会社 デジタル戦略部
佐久間弘明 AIGA事務局長、Robust Intelligence, Inc. 政策企画責任者(モデレーター)

平本様からAISIの設立経緯・ミッション・今後の取組についてご紹介いただいた後、AIGA会員である楽天グループ、ソフトバンク、東京海上ホールディングス、Robust Intelligenceの各社から、自社のAIガバナンスの取組や国内外の規制動向への対応状況についてプレゼンテーションを実施しました。その後、各講演内容を踏まえつつ、登壇者全員で共通の課題感や、AISI・日欧政府に期待することや官民連携で取り組むべき事項についてパネルディスカッションを行いました。

EC・テックサービス、通信サービス・基盤モデル開発、保険・金融事業など幅広い業界に属する各企業が事業内容に応じてAIガバナンス・AIリスク管理を位置付け、それぞれ特色ある取組を進めていることが示された反面、国内外の規制動向やベストプラクティスの把握など、各社独自で取り組むのが必ずしも効率的ではなく、AIGAやAISIなど官民が連携して取り組むことが望ましい論点もいくつか指摘されました。また、民間の取組を進めるにあたっての国内外の制度の相互運用性(interoperability)の重要性についても議論されました。

AIガバナンスにおいては民間事業者の自主的取組を基調としつつも、共同的なアプローチが有効な論点については官民・国際的な連携が今後ますます求められていくことが示唆されたセッションでした。

公共セクターセッション

公共セクターセッションの様子

登壇者(写真左手から)
ピーター・ファテルニグ様 駐日欧州連合代表部 デジタル経済政策担当公使参事官
小森卓郎様 衆議院議員、自民党AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム事務局長
船越亮様 経済産業省商務情報政策局情報経済課情報政策企画調整官
羽深宏樹様 スマートガバナンス 代表取締役CEO・京都大学特任教授・弁護士、AIGA理事(モデレーター)

冒頭、ファテルニグ様から、生成AIの普及以前の経緯も含め、イノベーション促進のための取組も含めたEUにおけるAI政策の基本的な考え方やAI Actをはじめとしたルールの実装の展望についてご紹介いただいたのち、パネルディスカッション形式で、自民党AIPTで提言された「AIホワイトペーパー2024」や「責任あるAI推進基本法(仮)」、経済産業省が総務省と共に策定し、イベント同日に公開された「AI事業者ガイドライン」などの日本の取組について小森議員、船越様に共有いただきつつ、日欧のアプローチの類似点や相違点、今後のAIガバナンスの社会実装に向けた展望などについて議論しました。

包括的なハードロー規制とするか否かなど採用する政策ツールの違いはあれど、ガバナンス構築という「ガードレールの整備」があってこそAIのイノベーション・ビジネス活用の健全な実現が可能になるという基本的な考え方や、リスクベースアプローチを採用し、マルチステークホルダーの議論によってアジャイルにルールを策定・更新していくことが望ましいという認識は全ての登壇者に共通していました。その上で、各国の経済社会的な状況や既存制度のあり方を踏まえて生じる差異については、今回のイベントのような枠組みも生かしながら相互運用性確保のための対話を続けていくことが重要であるという見解が示されました。

ネットワーキングセッションの様子

EU AI Actをはじめとした海外の規制動向はグローバルにビジネスを展開する事業者が注視すべきものであるだけでなく、制度の相互運用性の議論などを通じて日本国内のAIガバナンスのルールやあり方にも影響するものです。

そんな中、日本国内でAIガバナンスの社会実装にいち早く自主的に取り組む企業が集まるAIGAとして、駐日EU代表部と、EU AI Actの可決をきっかけとした知見・意見交流の場を持つことができたのは大きな前進です。今後も、国内外の幅広いセクターの組織・団体と積極的に相互の取組紹介や意見交換を行う場を設け、国や官民の垣根を超えてAIガバナンスのあるべき姿に関する議論を継続していきます。